― 企業の成長とともにブランドを育てる
会社が変われば、伝えるべき姿も変わっていく
会社が変われば、伝えるべき姿も変わっていく
採用サイトをつくった。
社員の写真を撮影した。
採用パンフレットを制作した。
採用ブランディングというと、こうした制作物が完成したところが「ゴール」のように思われることがあります。
しかし、企業は常に変化しています。
社員が増える。
新しい事業が始まる。
組織が大きくなる。
オフィスを移転する。
新しい拠点ができる。
そして、採用したい人材も変わっていく。
会社が変化しているのに、3年前、5年前につくった採用サイトや写真がそのままであれば、実際の企業と、求職者がWeb上で見る企業の姿にズレが生まれてしまいます。
採用ブランディングは、一度つくって完成するものではありません。
企業の成長とともに、少しずつ育てていくもの。
今回は、採用サイト・写真・動画・パンフレットなどを、企業の成長に合わせてどのように育てていけばよいのかを考えてみます。
① 採用ブランディングには「時間軸」がある
第7話では、企業の成長フェーズによって必要なクリエイティブは異なる、というお話をしました。
創業間もない会社と、社員50名の会社。
社員50名の会社と、社員300名の会社。
当然、採用人数も、組織も、求める人材も違います。
例えば、まだ採用人数が少ない段階であれば、
企業写真 + コーポレートサイト + 会社紹介リーフレット
という構成で十分かもしれません。
採用が本格化してきたら、
採用ページの充実 + 社員インタビュー
が必要になる。
さらに採用人数が増えてくれば、
採用専用サイト + 採用動画 + 採用パンフレット
という展開も考えられます。
重要なのは、
最初からすべてを揃えることではありません。
今の企業に必要なものをつくり、会社の成長に合わせて次のクリエイティブを追加していく。
採用ブランディングには、この「時間軸」の考え方が必要です。
② 写真は「今の会社」を映しているか?
企業写真は、特に変化が分かりやすいコンテンツです。
採用サイトを制作した当時は社員が10人だった会社が、数年後には30人になっている。
オフィスも広くなった。
新しい部署もできた。
若い社員も増えた。
ところが採用サイトを見ると、写真は数年前のまま。
これでは、現在の企業の姿を正しく伝えることができません。
だからといって、毎年すべての写真を撮り直す必要もありません。
例えば、
新入社員が増えた。
新しい部署ができた。
制服が変わった。
新しい設備を導入した。
新しいオフィスへ移転した。
こうした「会社の見え方が変わったタイミング」で写真を更新する。
既存の写真を活かしながら、必要な写真だけ追加撮影する方法もあります。
写真は、企業の「今」を伝えるもの。
だからこそ、企業の変化に合わせて見直すことが大切です。
③ 社員インタビューも「増やしていく」
社員インタビューも、一度つくったら終わりではありません。
企業が成長すると、働く人の役割も多様になります。
若手社員。
中堅社員。
管理職。
新卒入社。
中途入社。
営業職。
技術職。
それぞれ違う立場の社員が登場することで、求職者は、
「自分に近い人」を見つけやすくなります。
例えば最初は3名の社員インタビューからスタートする。
翌年、新入社員を追加する。
その次は、入社5年目の社員や管理職を追加する。
こうして少しずつコンテンツを増やしていけば、
企業の成長そのものが、採用コンテンツとして蓄積されていきます。
数年前に若手社員として登場した人が、数年後には後輩を育てる立場になっている。
そんな変化も、その会社で働く未来を伝える材料になります。
④ オフィス移転は、ブランドを更新する大きなタイミング
企業の成長を象徴する出来事の一つが、オフィス移転や新拠点の開設です。
働く場所が変わると、企業の印象も大きく変わります。
新しいオフィス。
新しい会議室。
社員が働く様子。
新しい設備。
社員同士が交流するスペース。
こうした変化は、求職者にとっても重要な情報です。
そのためオフィス移転は、
企業写真を更新する絶好のタイミング
でもあります。
さらに、会社の成長をより立体的に伝えたい場合には、このタイミングで採用動画を制作するという選択肢もあります。
新しいオフィスの空間。
そこで働く社員。
仕事をしている様子。
代表者や社員の言葉。
写真と動画を組み合わせることで、
「会社がどのように成長しているのか」
まで伝えることができます。
⑤ 採用したい人が変われば、伝え方も変える
企業の成長によって変わるのは、社員数やオフィスだけではありません。
採用したい人物像そのものが変わることもあります。
創業期には、一緒に事業をつくってくれる人。
成長期には、現場を支えてくれる人。
組織が大きくなれば、マネジメントできる人。
新しい事業を始めれば、その分野の専門人材。
さらに、新卒採用と中途採用でも伝えるべき内容は異なります。
だからこそ、
「以前つくった採用サイトがあるから大丈夫」
ではなく、
今、誰を採用したいのか。
を定期的に確認することが重要です。
採用ターゲットが変われば、キャッチコピー、社員インタビュー、写真、動画、仕事内容の伝え方も見直す必要があります。
⑥ 変えるものと「変えないもの」を分ける
企業が成長するたびに、ブランドそのものを変える必要はありません。
むしろ大切なのは、
変えるものと、変えないものを整理すること。
例えば、
社員数。
事業内容。
オフィス。
組織体制。
採用職種。
社員インタビュー。
こうしたものは、企業の成長とともに変化していきます。
一方で、
創業時から大切にしている考え方。
お客様に対する姿勢。
仕事への価値観。
会社として目指している未来。
こうした企業の根本にあるものは、簡単には変わらないかもしれません。
採用ブランディングとは、毎年新しいイメージをつくることではありません。
変わらない企業の軸を大切にしながら、変化した部分を更新していく。
その積み重ねが、その会社らしいブランドになっていきます。
⑦ 「つくる予算」だけでなく「育てる予算」も考える
採用サイトを制作するとき、どうしても最初の制作費に目が向きます。
しかし、長く活用するのであれば、
制作後にどう育てていくか
も考えておきたいところです。
例えば、毎年すべてをリニューアルするのではなく、
今年は社員インタビューを2名追加する。
来年は新しい職場写真を撮影する。
オフィス移転時には写真と動画を更新する。
採用人数が増えた段階で、採用パンフレットを制作する。
というように、企業の成長計画に合わせてクリエイティブへの投資を分散することもできます。
「今必要なもの」と「将来必要になるもの」を分けて考える。
そうすることで、無理なく採用ブランドを育てていくことができます。
⑧ 制作会社とも「未来」を共有する
第8話では、制作チーム全員が企業の目指す方向を理解することの重要性についてお伝えしました。
これは、制作が終わった後も同じです。
今は社員20名だけれど、3年後には50名を目指している。
来年、新しい拠点を開設する予定がある。
今後、新卒採用を始めたい。
将来的には採用動画も検討している。
こうした企業の計画を制作側とも共有できれば、
「今、何をつくるべきか」
だけでなく、
「今は何をつくらない方がいいのか」
まで判断しやすくなります。
例えば、1年後にオフィス移転が決まっているのであれば、今、大規模なオフィス撮影をする必要はないかもしれません。
逆に、採用人数を大きく増やす計画があるなら、今の段階から社員インタビューを蓄積しておくという考え方もできます。
制作会社が企業の未来を知ることで、単発の制作ではなく、中長期的なクリエイティブの計画を一緒に考えやすくなります。
採用ブランディングを「企業の資産」にする
採用サイト。
企業写真。
社員インタビュー。
採用動画。
パンフレット。
一つひとつを単発の制作物として考えれば、完成した瞬間から少しずつ古くなっていきます。
しかし、企業の成長に合わせて更新し、追加し、蓄積していけば、それらは単なる制作物ではなく、
企業の歴史や文化を伝える資産
になっていきます。
大切なのは、毎年すべてを新しくすることではありません。
今の会社と、発信している会社の姿にズレがないか。
今採用したい人に、必要な情報が届いているか。
企業が次に目指している姿と、現在のクリエイティブがつながっているか。
時々立ち止まって確認し、必要なところだけを更新していく。
KP Lifeでは、
「何をつくるか」だけではなく、「いつつくるか」「いつ更新するか」「今は何をつくらないか」まで考える。
そして、写真・取材・Web・デザイン・映像を、企業の成長に合わせて育てていく。
それが、長く機能する採用ブランディングにつながると考えています。
次回予告
第10話|採用ブランディング総まとめ ― 「応募を増やす」から「選ばれる会社」へ
写真、動画、採用サイト、社員インタビュー、そして企業の成長フェーズ。
最終回では、第1話から第9話までお伝えしてきた内容を振り返りながら、KP Lifeが考える採用ブランディングとは何かをまとめます。
「応募数を増やす」だけではなく、自社の価値観に共感する人と出会い、長く働いてもらうために企業は何を伝えるべきなのか。
シリーズ全体の総まとめです。
